一昨晩江別市の犬仲間小野寺君(Della Woods 犬舎)が明日発送する2頭の仔犬を連れて久しぶりに遊びにきた。彼は、ローソンを経営し学生街にあるため学生向けアパートも150室ほど所有している忙しい方である。
条件付きで飼育を希望される方へ送るための仔犬である。
2時間ほど犬談義をしている会話の中で10日ほど前に千葉旧伊藤君のグループの愛好家Mが仲間のメス犬を連れて小野寺君の愛犬B&B(King’s Woods Japanese Yen)との交配にきたと話していた時の話であるが
「俺たちの犬とMたちの飼育する犬とはラインが全く異なり雑種を作るようなものだな。」
と私は一笑に付した。
写真はUFO 7か月
小野寺君が「何故?」と聞くので私がアメリカで学び実践されている繁殖手法と私が経験した繁殖論を熱く語った。
私は、同一ライン内の犬としかラインブリード或いはインブリードをしない。
理由は、
1.犬種の正しいタイプの固定と保持でありこの事はタイプの純粋性を保つことである。
2.悪性遺伝子(極度の股関節形成不全、癲癇、水頭症、心臓奇形、睾丸異常、咬癖、凶暴な性格、極端なシャイ、極端な咬合不整、青目、銀目、淡い茶色目etc)の混入を防ぐためである。
現在アメリカの有名犬舎は、30年も40年も同一系列内インブリード、ラインブリードを繰り返しい現在のそれぞれ特徴ある犬を造り上げている。
ぞれのラインを基礎に系統内ラインンブリード、インブリードを
長期にわたり継続し、より良い犬の作出に努力をしてきたのであるがその過程で当然悪性遺伝子を現出しやすい血液は、淘汰され悪性遺伝子を現出しない犬でのみ交配繁殖を繰り返し悪性遺伝子の継承を徹底的に避け現在の健全な犬の作出に成功しているのである。
彼ら先達には悪性遺伝は過去の話とあまり頓着がない。
このような繁殖意識は、アメリカの良心的な繁殖者は殆ど実践している。
小野寺君に強調したのは、ここからでありこのブログを読まれている方もしっかり記憶にとどめていて欲しい。
結論から先に述べる。
異系統の掛け合わせのミックス交配(雑交配)は、10世代20世代悪性遺伝の顕出が無かった系統でも異系統同士の交配(雑交配)をすると、悪性遺伝子の復活の可能性が非常に高いということである。
私は、これまで雑交配はタイプの喪失とのみ警鐘を促していたが昨年のナショナルに於いて審査員研修会があり講義の内容が「遺伝的疾患」についてであったが統計的には悪性遺伝子の継承による発症は少なくなっておりドッグショーを追うブリーダーの繁殖犬には殆ど見られない。
最近は、異系統同士の交配を試みる挑戦的ブリーダーが少なくなったのも一因であると語っていた。
そこで私は、アメリカの2つの犬舎を思い浮かべ遺伝的疾患の多かった理由が理解できた。
確かに1970年代前後には東部系統と西部系統の犬を交配して新しい系統を模索する犬舎がありいずれも失敗し現在良心的な繁殖者はこの異系統交配は行っていないようだ。
その2つの犬舎とは、アメリカのアルムシャウス犬舎でありキャッチリトリート犬舎である。
Patch
この何れの犬舎も20年以上サンックチュアリイーウッヅラインの犬舎であった。
キャッチリトリート犬舎は1980年頃犬を大きくしようとマーレンラインのレンワードフス犬舎の血液を導入して大型化に努めた。確かに犬は大きくなった。しかし顔は悪く股関節のトラブル続出の犬がかなり多く見られた。そ頃の繁殖犬の末裔が日本にも輸入され股関節の極度に悪い犬があちらこちらで展覧会に行くたびに散見された。犬舎主のアイバンパンブレッド博士は、さらにマーレンラインの血液を強く引くバンリン犬舎の犬の血液を導入し1995年ころからショーに出しても良い成績を収める犬が作出できるようになった。苦節16年である。しかし、完全に悪性遺伝子が抑え込まれているとは思えない犬もいる。
アルムシャウス犬舎は、オーナーのルビー女史の人柄か晩年は、西海岸愛好者との付き合いもなくなりマーレンラインのカルマー犬舎の血液を導入したことにより遺伝的疾患の発症を多く抱えた犬が続出した。そして日本にも多数送り込まれた。
一つの系統内では抑えつけられていた悪性遺伝子が異系統との雑交配により遺伝子が眠りから覚めたものと私は推察している。
そうでないと10世代20世代
と遺伝的疾患の見られなかった血統が雑交配をすることにより悪性遺伝子による発症が見られることを説明できない。
日本においても同じ現象が見られる。あるグループの作出する犬に遺伝的疾患が多発しているからである。
私は、日本でただ一つの系統繁殖のブリーダーであり雑交配をしない犬舎である。現在の姿勢を崩すことはない。同一系統での繁殖こそタイプの固定と保持であり悪性遺伝子の淘汰の有効な手段である。
雑交配だらけの血統は、犬種の正しいタイプの破壊と遺伝的疾患の表徴を天下万人に宣伝しているようなものである。
世俗的に近親交配は、遺伝的疾患の蓄積になるのでその交配を非難する素人やベテランもいるがその話は、雑交配で埋め尽くされている血統の犬同士の話であり同一系統繁殖を30年も40年も継続している健全な血統には別世界の話である。
写真はWinds
いい犬の条件の一つは、血統の健全性であり先祖に何頭チャンピオンが存在したかではない。
犬を無目的に繁殖して販売して何ぼの生活をしている商業繁殖者は、プロとか専門家というのならソロバンばかりはじくのではなく繁殖とか犬種の専門書を読めと言いたい。それでこそプロであり専門家と私は、認知しよう。